marui filamentとは?広葉樹端材×再生PLAが実現する質感と安定造形の理由を解説
marui filamentとは株式会社井上企画の素材開発事業部「marui lab」が手掛ける3Dプリンター用木質フィラメントのことです。
材料には再生PLAと自社の家具製造時に排出される広葉樹の木粉を使用しており、リサイクル率が95%と非常に高い素材となっています。
昨今、プラスチック削減やSDGsの観点から木質フィラメントが大きな注目を集めています。しかし、従来の木質フィラメントは「出力中にノズルが詰まりやすい」「焦げ付いて色合いが安定しない」「樹脂っぽさが強くて木感が薄い」といった課題が多く、扱いやすさに悩む開発者やクリエイターも少なくありませんでした。
そこで開発されたのが、「marui filament」です。家具の街・福岡県大川市で創業した材木屋の知見を活かし、本物の木の質感を追求しながら、3Dプリンター初心者でも扱いやすい優れた出力安定性を両立しています。
本記事では、marui filamentの持つ特徴や推奨されるプリント条件、ノズル詰まりを防ぐ技術的背景から、自社の廃材を活用できる試作サービスまで詳しく解説します。
読者
木質フィラメントってノズルが詰まりやすくて設定が難しいイメージがあるけど、marui filamentは初心者でもきれいに造形できるのかな?
担当者
大丈夫です!marui filamentは本物の木粉を配合しつつも、ノズル詰まりを防ぐ流動性制御を行っています。推奨温度を守れば初心者の方でもスムーズに造形できますよ。
- marui filamentの持つサステナブルな特徴と無着色による木の質感
- 印刷スピードやノズル温度など造形を成功させるための推奨プリント条件
- 材木屋の細胞構造への知見と一貫プラントが生み出す安定造形の理由
- 持ち込んだ廃棄資材や間伐材をフィラメント化する「試作サービス」の流れ
目次
marui filamentとは?特徴とスペック
marui filament(マルイフィラメント)は、家具製造の過程で発生する木の端材と再生プラスチックを複合させて作られた、環境配慮型の3Dプリンター用フィラメントです。
従来の「見た目だけが木目調」であるプラスチックフィラメントとは異なり、実際に木粉が練り込まれているため、造形物は本物の木のような温かみのある手触りと質感を持っています。
サステナブル素材としての高いリサイクル率
marui filamentの最大の特徴の一つが、全体でリサイクル率95%という卓越した環境性能です。原料には、家具の製作現場で廃棄されるはずだった広葉樹の端材と、回収された再生PLA樹脂(ポリ乳酸)を採用しています。
化石資源由来の新規プラスチック使用量を大幅に低減し、本来であれば焼却・廃棄処理されていた資源をアップサイクルすることで、循環型社会(サーキュラーエコノミー)の実現に貢献します。
無着色だからこそ表現できる木本来の深みと経年変化
marui filamentには、化学的な人工着色剤が一切使用されていません。フィラメントの豊かな色合いは、配合されている樹種そのものの自然な色彩によって作られています。
ウォールナットやチェリー、ホワイトオークなど、元となる木の個性がそのまま造形物のカラーとして現れるため、人工物にはない天然木特有の深みと温もりを楽しむことができます。さらに、本物の木材と同じように、年月が経つにつれて光や風合いによってゆっくりと味わいを増す「経年変化」を楽しめるのも大きな魅力です。
marui filamentの基本仕様・推奨プリント条件
3Dプリンターでの造形を成功させ、木粉の変色や詰まりを防ぐためには、適切な出力条件の設定が重要です。marui filamentの基本スペックと、メーカー推奨の標準プリント条件を以下にまとめました。
| 項目 | 推奨スペック・設定値 | 造形時のポイント |
|---|---|---|
| フィラメント径 | 1.75mm | 一般的なFDM(熱溶解積層法)3Dプリンターに対応 |
| ノズル温度 | 200℃以下 | 木粉の焦げ付き(炭化)を防ぐため、温度を上げすぎない |
| ヒートベッド温度 | 標準PLAと同等(50〜60℃前後) | 特別なベッド加熱環境は不要で定着しやすい |
| 最大体積速度(MVS) | 9 mm³/s 以下 | 0.4mmノズル使用時。安定した押し出しを維持する設定 |
| 推奨ノズル径 | 0.4mm 以上 | 木粉の流動性を保ち、ノズル詰まりを回避 |
特に重要なのが「ノズル温度を200℃以下に保つこと」です。木粉は高熱に弱いため、加熱しすぎるとノズル内部で焦げ付き(炭化)が発生し、流路を塞ぐ原因になります。標準的なPLAと同じ感覚でヒートベッドを設定しつつ、ノズル温度と押し出し速度をコントロールすることで、初めての方でも失敗なく美しい造形を実現できます。
木質フィラメント特有の「ノズル詰まり」を防ぐ技術的背景
木質フィラメントを3Dプリンターで出力する際、多くのユーザーが直面する最大の壁が「ノズル詰まり(クラッグ)」や「焦げ付き(炭化)」です。一般的な木質フィラメントは、樹脂内部で木粉が不均一に凝集したり、熱によって木質成分が変質したりすることで流路を塞ぎやすい課題がありました。
marui filamentがこれらのトラブルを克服し、高い造形安定性を実現している背景には、株式会社井上企画ならではの技術的アプローチが存在します。
材木屋だからこそ知る木材の「細胞構造」と流動性の制御
木材は単なる素材ではなく、微小な管や細胞が複雑に組み合わさった有機体です。樹種によって導管の配置や細胞壁の厚みが異なり、粉砕した際粒子の形状や熱に対する挙動も大きく変化します。
創業から100年を超える歴史の中で培われた木材の生理的特性・細胞構造への深い理解に基づき、marui filamentでは樹脂と配合した際に最もスムーズに流動する粒子サイズや形状を精密にコントロールしています。
出力時にノズル詰まりを起こさないためのコツはありますか?
- ノズルの温度を200℃以上に上げて流動性を高める
- 0.4mm以上のノズルを使用し、ノズル温度を上げすぎないようにする
- 造形速度を極限まで上げて吐出量を増やす
答えは 2 です
木粉は高温に長時間晒されると炭化してノズルを塞ぎます。0.4mm以上のノズルを使用し、温度を200℃以下に抑えることが詰まりを防ぐ一番のポイントです。
自社プラントによる微粉砕・混錬と「senju」「P1S」での造形評価
marui lab(素材開発事業部)では、原料となる木材端材の工業用微粉砕から、再生PLAとの混錬、フィラメントの巻き取り製造までをすべて自社の一貫プラントで完結させています。
外部委託に頼らず自社内で製造工程を垂直統合しているため、粒度のばらつきや材料のブレを極限まで排除することが可能です。さらに、自社に設置されたフィラメントFDM式3Dプリンター「senju」「P1S」を用いて、実際の造形テストと評価を日常的に繰り返し行っています。
「材料の配合データ」と「実際の3Dプリンターでの吐出データ」を同一社内でフィードバックし続けることで、失敗の少ない優れた品質保持と押し出し性能を両立させています。
自社資材をアップサイクルする「フィラメント試作サービス」
株式会社井上企画の素材開発事業部「marui lab」では、自社標準品の販売にとどまらず、企業や自治体が保有する未利用資材をオリジナルの3Dプリンター用フィラメントへと生まれ変わらせる「フィラメント試作サービス(受託開発)」を展開しています。
自社で排出し処理に苦慮している木材端材や、地域資源である間伐材・植物繊維などを独自のノウハウでアップサイクルし、高い付加価値とストーリー性を持った新製品開発をサポートします。
端材・間伐材の小ロット試作から造形テストまで一気通貫
一般的な素材メーカーにオーダーメイドのフィラメント開発を依頼する場合、数トン規模のミニマムロット(MOU)が求められることが少なくありません。しかし、marui labでは小ロットの試作段階から柔軟に対応可能です。
お預かりした資材の微粉砕から、再生PLAなど最適な樹脂との混錬・フィラメント化、さらには自社保有の3Dプリンター「senju」等を用いた実際の造形・評価テストまでを一気通貫でサポートします。
読者
自社で出た廃棄木材や特殊な植物繊維でもフィラメント化してもらえるのでしょうか?
担当者
はい!実際に製造現場で「廃棄予定だった木枠」や、「ティーツリー」、「炭」といった独自の素材をお持ち込みいただき、フィラメント化・試作を行った実績がございます。
製品開発や自治体の地方創生(6次産業化)への活用例
このフィラメント試作サービスは、製造業における環境配慮型プロダクトの開発だけでなく、自治体や林業関係者が推進する地域創生(6次産業化)プロジェクトにも広く活用されています。
地域の固有樹種や間伐材をフィラメント化し、その土地ならではの記念品や家具、ノベルティグッズを3Dプリントで製作することで、「地域の廃材ゼロ」と「魅力的なストーリー設計」を両立した循環型プロダクトを創出できます。
marui filamentの購入方法と受託開発の相談手順
marui filamentの導入や、オリジナルフィラメントの受託開発(試作サービス)をご検討されている方向けに、具体的な購入方法とお問い合わせの流れをご案内します。
公式ストアでの購入と標準品ラインナップ
まずは試してみたいという個人クリエイターや企業の開発担当者様向けに、公式オンラインストアにて標準品の販売を行っております。
標準品ラインナップでは、ウォールナットやチェリー、ホワイトオークなどの広葉樹端材を活用したフィラメントをご用意しており、1巻単位からご購入いただけます。製品の仕様確認や最新の在庫状況については、公式オンラインストアをご確認ください。
オリジナルフィラメント開発のお問い合わせの流れ
自社の廃材を活用したい企業様や、地域の木材・繊維を用いたオリジナルフィラメント開発(試作サービス)をご希望の場合は、素材開発事業部「marui lab」へ直接ご相談ください。
| ステップ | 対応内容 | 詳細・ポイント |
|---|---|---|
| STEP 1 お問い合わせ |
Webフォームよりご相談 | お持ちの資材の種類(木工端材・植物繊維など)やご希望の用途をお知らせください |
| STEP 2 資材ヒアリング・打合せ |
性状確認と試作条件の検討 | 持ち込み予定資材の状態(乾燥度合いや量)を確認し、試作の方向性を決定します |
| STEP 3 粉砕・混錬・試作製造 |
自社一貫プラントでの製造 | 資材を微粉砕し、再生PLA等の樹脂と最適な比率で混錬してフィラメント化します |
| STEP 4 造形テスト・納品 |
「senju」等での吐出・造形評価 | 実際の3Dプリンターで造形テストを行い、完成したフィラメントをご納品します |
廃棄コストの削減とサステナブルな新製品開発を同時に実現するオリジナルフィラメント開発について、まずはお気軽にお問い合わせください。
▶関連記事:井上企画が手掛ける「3Dプリント試作サービス」とは?メリット・ご利用方法を紹介
▶関連記事:木材加工の端材を3Dプリンター用フィラメントに|粉砕から試作まで一貫対応
まとめ:marui filamentで実現するサーキュラーエコノミー
本記事では、株式会社井上企画の素材開発事業部「marui lab」が提供する木質フィラメント「marui filament」の特長や造形条件、技術的背景について解説しました。
改めて、marui filamentの重要なポイントをまとめます。
- 高い環境性能:全体リサイクル率95%(広葉樹端材+再生PLA)を実現したサステナブル素材
- 天然木の質感と変化:無着色のため、樹種本来の美しい色合いと経年変化を楽しめる
- 優れた安定出力:ノズル温度200℃以下・MVS 9mm³/s以下を守ることで、初心者でもノズル詰まりを防いで造形可能
- 受託試作に対応:廃棄予定の木枠やティーツリーなど、自社資材のアップサイクルや地域創生プロジェクト(6次産業化)を強力支援
3Dプリンターを活用した環境配慮型のものづくりや、自社未利用資材の価値化をお考えの方は、ぜひmarui filamentの活用および試作サービスをご検討ください。


