井上企画が手掛ける「3Dプリント試作サービス」とは?メリット・ご利用方法を紹介
- 3Dプリント試作が製品開発にもたらす構造的なメリット
- プラスチック100%から「サステナブル素材」へ切り替えるべき理由と新潮流
- 材料製造からテスト造形まで自社ワンストップで完結する「marui lab」の強み
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目次
3Dプリント試作の概要
ものづくりの設計・開発プロセスにおいて、頭の中にあるアイデアや図面を実際の形にする「試作」は、製品の成否を分ける極めて重要な工程です。近年、この試作フェーズにおいて急速に普及しているのが、3Dプリンターを活用した「3Dプリント試作(積層造形)」です。
試作開発の重要性
製品開発において試作を行う最大の目的は、量産を開始する前に「デザインの審美性」「構造的な強度」「部品同士のかみ合わせや機能性」を物理的に検証し、潜在的なリスクを洗い出すことにあります。もし試作による検証を怠り、ぶっつけ本番で量産用金型を起こしてしまえば、万が一設計ミスが発覚した際に数百万〜数千万円規模の莫大な修正コストと、数ヶ月におよぶ開発遅延(リードタイムのロス)が発生してしまいます。
そのため、企画から量産にいたるプロセスの中で、段階的にプロトタイプを製作してブラッシュアップを重ねる「試作開発」は、製造業におけるリスクマネジメントそのものであると言えます。
従来の加工との違い
従来の試作では、主に「木型・手作業での削り出し」「マシニングセンタ等による金属・樹脂の切削加工」、あるいは「簡易金型を用いた射出成形」などが用いられてきました。しかし、これらの工法には構造的な制約やコストの課題が存在します。
| 試作工法 | 主な特徴とメリット | 構造的な課題・デメリット |
|---|---|---|
| 切削加工(削り出し) | 実用材料を使用できるため、強度や耐熱性の検証に向いている。 | 刃物が届かない「中空構造」や「アンダーカット(逆テーパー)」の造形が不可能。また、削り落とした大部分の材料が「切削屑」として廃棄されるため歩留まりが悪い。 |
| 簡易金型・注型加工 | 量産品に近い品質で数十〜数百個の中ロット試作が可能。 | 試作の段階で型を製作する必要があるため、初期費用が高額になりやすく、設計変更ごとの型の作り直しに時間とコストがかかる。 |
| 3Dプリント試作(積層造形) | データをアップロードするだけで、金型レスかつ最短数日で造形可能。複雑な中空・有機的形状も得意。 | 使用できる材料の種類が限られていた(※ただし、現在のサステナブル素材の進化により、この課題は克服されつつあります)。 |
このように、従来の工法が「塊から削り落とす」「型に流し込む」というアプローチであるのに対し、3Dプリント試作は「スライスされた断面データを下から1層ずつ積み上げる」工法です。そのため、材料のロスを最小限に抑えながら、従来は不可能だった複雑なデザインをダイレクトに形にできるという決定的な違いがあります。
3Dプリンター試作のメリット
製品開発において3Dプリンターを導入して試作を行うことは、単に「新しい技術を使う」というレベルにとどまらず、ものづくりの効率と精度を根本から高めるための多様なメリットをもたらします。特にBtoBの製造現場において、3Dプリント試作が不可欠とされている理由は主に3つあります。
開発コストの削減
従来の工法でプラスチック製品や成形品の試作を行う場合、たとえ形状確認用のプロトタイプであっても、数百万円規模の費用を投じて「簡易金型」を製作する必要がありました。また、マシニングセンタなどを用いた切削加工(削り出し)では、高価な材料の大部分を削り屑として廃棄せざるを得ず、歩留まりの悪さがコストを押し上げる要因となっていました。
これに対し、3Dプリント試作は「金型レス(型を必要としない造形)」であるため、初期費用を極限まで抑えることができます。スライスされた3Dデータから必要な分だけの材料を積み上げて形を作るため、高価なエコマテリアルや特殊素材を使用する場合でも、材料の無駄(廃棄ロス)を最小限に抑えた低コストな試作開発が可能になります。
リードタイムの短縮
金型の設計・製作や切削マシンのプログラミングを伴う従来の試作では、最初のプロトタイプが手元に届くまでに数週間から1ヶ月以上の納期(リードタイム)を要することが一般的でした。もし手元に届いた試作品に不具合が見つかれば、図面を修正して型を作り直すために、さらに同じだけの時間が上乗せされてしまいます。
3Dプリンターによる試作であれば、CADなどで作成した3Dデータをそのまま出力機に送信するだけで、最短数日でのスピード造形が可能です。開発の初期段階で「作っては検証し、修正してすぐに出力する」という高速な試作サイクル(イテレーション)を回せるようになるため、新製品を市場に投入するまでの期間(タイム・トゥ・マーケット)を劇的に短縮することができます。
デザイン検証の容易さ
2次元の図面や3D CADの画面上だけでは、人間の手で触れたときのフィット感、光の当たり方による素材の陰影、組み立て時のパーツ同士の正確なクリアランス(隙間)を完全に把握することは不可能です。
3Dプリンターによる積層造形は、従来の削り出し刃物では物理的にアプローチできなかった「中空構造」や「アンダーカット(逆テーパー形状)」、複雑な有機的曲面をも忠実に再現できます。デザイナーが意図した流麗なデザインラインや、設計者が追求した機能的な内部構造をそのまま物理的な形として検証でき、視覚・触覚の両面から高精度な製品評価を行うことが可能になります。
◯ペレット熱溶解積層方式3Dプリンター「茶室」
造形サイズ(出力可能サイズ)シングルヘッド造形時造形可能範囲: X:2000mm,Y:1400mm,Z:1500mm
デュアルヘッド造形時造形可能範囲: X:1000mm,Y1400mm,Z:1500mm ×2
ノズル径:3mm〜8mm
◯フィラメント式3Dプリンター「senju」
造形最大サイズ X380mm×Y350mm×Z400mm
◯フィラメント式3Dプリンター「Bambu Lab P1S」
造形最大サイズ X256mm×Y256mm×Z256mm
環境対応を叶える試作の新潮流
ものづくりの現場において、3Dプリンターによる試作は「コスト削減」や「スピードアップ」のための手段だけではなくなりつつあります。持続可能な社会の実現(SDGs)が叫ばれる現代において、試作フェーズから環境負荷を低減する「環境対応型のものづくり」が新たな世界標準として求められています。
高まるサステナブル需要
従来の製品開発、特にプラスチック製品のプロトタイプ製作においては、石油由来の樹脂(ABSやポリカーボネートなど)が100%使用されることが当たり前でした。しかし近年、大手製造業を中心に「試作段階からCO2排出量を削減する」「廃棄予定の自社資源を有効活用する」といったグリーン調達・環境配慮への要求が急速に強まっています。
企業のブランド価値を高め、環境意識の高い市場や自治体のニーズに応えるためには、図面の確認やフィッティングテストを行うだけの「使い捨ての試作品」であっても、その素材自体をサステナブルなものへと切り替えていく必要があります。
木質素材を活用する価値
こうした環境対応のニーズに応える代表的な選択肢として、注目を集めているのが「木質3Dプリント」です。植物由来の生分解性プラスチック(PLAなど)に木粉を混ぜ込んだ素材を使用することで、石油由来樹脂の使用量を大幅に削減することができます。
さらに木質素材を活用した試作には、単なる数値上の環境配慮にとどまらず、完成した試作品そのものに「本物の木の質感やぬくもり、香り」を宿らせることができるという唯一無二の価値があります。これにより、デザイン家電やインテリア、日用品などの開発において、量産時の仕上がりイメージや製品が持つ「ストーリー性」をプロトタイプの段階から関係者やエンドユーザーに伝えることが可能になります。
marui labの材料技術
しかし、従来の一般的な木質3Dプリント素材には、ノズル内部で木粉が偏ったり炭化(焦げ付き)したりすることで流路が詰まり、造形が途中で失敗しやすいという重大な技術的リスクが存在していました。
この課題をクリアしたのが、大川の伝統木工の知見を持つ材木屋としての細胞構造への知識と、プラスチック複合材研究を融合させた株式会社井上企画の素材開発事業部「marui lab(マルイラボ)」の材料技術です。
marui labが開発した木質フィラメントは、全体のリサイクル率95%を誇り、化学的な人工着色剤を一切排除して成形されています。そのため、3Dプリントされた造形物でありながら、本物の木製品のように紫外線や経年による緩やかな色調の変化(味わい)を楽しむことができます。さらに特筆すべきは、その対応素材の圧倒的な幅広さです。
- 広葉樹・針葉樹を問わない混錬技術:家具製造時に出るウォールナットやホワイトオークなどの広葉樹端材だけでなく、国内の間伐材に多い杉や桧などの針葉樹の混錬も可能です。
- 樹皮がついたものや葉っぱのみからの材料製造:通常は廃棄される樹皮がついた状態の部位や、葉っぱのみの部位であっても、自社で粉砕して1から材料を製造できます。
- 植物やコーヒー残渣への対応:木材にとどまらず、コーヒー残渣やティーツリーといった植物由来の廃棄資源を混ぜ込んだ、オーダーメイドのエコマテリアル開発に対応しています。
このように、marui labの材料技術は、単に「環境に優しい材料を売る」のではなく、クライアント企業が持つ独自の廃棄資源や地域素材を、高精度な3Dプリント試作が可能な「価値ある新素材」へと生まれ変わらせる革新的な技術力を備えています。
marui labの試作プロセス
多くの3Dプリント出力サービスでは、既存の市販材料(プラスチック樹脂)を用いて預かったデータを造形するだけにとどまります。しかし、株式会社井上企画の素材開発事業部「marui lab(マルイラボ)」が提供する試作サービスは、素材そのものの開発から造形テストまでを網羅した、まったく新しいアプローチをとっています。
オーダーメイド素材開発
marui labの最大の強みは、クライアント企業からお預かりした廃棄予定の端材、地域の間伐材、あるいはコーヒー残渣などの植物繊維を、3Dプリント可能な「オーダーメイドペレット」「オーダーメイドフィラメント」へと生まれ変わらせる素材開発力にあります。
材木屋として培った「木材の細胞構造に関する深い知見」と「プラスチック複合材研究」を掛け合わせることで、これまで困難とされていた針葉樹や樹皮、さらには植物由来の成分を最適な比率で混錬(混ぜ合わせる技術)することを可能にしました。これにより、ただ環境に優しいだけでなく、素材の背景にある「ストーリー性」を宿した世界に一つだけのプロトタイプ専用マテリアルを創り出すことができます。
一気通貫の造形テスト
素材を開発するだけでなく、自社内に工業用の微粉砕装置やフィラメント巻取製造装置からなる「材料一貫製造プラント」を保有し、さらに大型3Dプリンター(ペレットFDM式「茶室」やフィラメントFDM式「senju」「Bambu Lab P1S」)を完備しています。
この「粉砕・材料製造から3Dプリンターでの出力テストまで」をすべて自社内でワンストップ完結できるインフラこそが、他社には真似できない優位性です。材料開発の段階で「3Dプリンターのノズルが詰まらないか」「安定して積層できるか」を同じ屋根の下で即座に評価・フィードバックできるため、開発のブレを極限まで抑え、非常にスムーズかつスピーディーに試作検証を進めることができます。
あらゆる未利用材に対応
「自社で出たこの廃棄物を活用してみたいが、本当に3Dプリントできるかわからない」という段階でも、marui labなら柔軟に対応が可能です。自社一貫体制だからこそ、お客様の課題や開発フェーズに合わせた形での受託ソリューションを提供しています。
| ご依頼のパターン | 具体的なサービス内容 | このようなお客様におすすめ |
|---|---|---|
| 粉砕のみ・材料製造のみ | 自社の端材や未利用の植物繊維をお預かりし、3Dプリンター用のペレットやフィラメントの状態にして納品します。 | 自社で既に3Dプリンターを保有しており、独自の環境対応材料だけを確保して自社内で試作を行いたい企業様。 |
| 材料製造〜出力まで(ワンストップ) | 素材の粉砕・調合から、marui labの大型・高精度3Dプリンターを用いた最終的なプロトタイプ造形・評価テストまでを一括で引き受けます。 | 3Dプリンターの設備やノウハウを持たず、依頼から完成までのフローを最も簡単かつ確実に行いたい企業様・自治体様。 |
このように、最初から最後まで一つの窓口で完結するため、お客様側での余計な手配の手間や、複数業者を挟むことによるコミュニケーションコスト、納期遅延のリスクが発生しません。自社資源のアップサイクルを最も手軽に、最も確実に実現できるプロセスがここにあります。
試作サービス利用の流れ
marui labが提供する環境対応型の「フィラメント試作サービス」は、素材の製造から造形テストまでを網羅しているため難しそうに思えるかもしれませんが、自社一貫体制の強みを活かし、お客様側の手続きは非常にシンプルに設計されています。実際の問い合わせから納品までのステップは以下の通りです。
データ送付とヒアリング
まずは、試作したい製品の設計データをご用意いただき、marui labの窓口までお問い合わせください。対応しているデータ形式は、3Dモデルデータはもちろんのこと、2Dの図面データ(.dwgや.dzfなど)からでも受付が可能です。
さらに「アイデアやスケッチはあるが、3Dデータを自社で作成できない」という場合でも、marui lab(株式会社井上企画)にて3Dデータの作成からサポート・代行することが可能ですので、データの有無に関わらずお気軽にご相談いただけます。ヒアリング段階では、どのような廃棄資源(端材や植物など)を混ぜ込みたいか、製品に求める強度や質感のイメージを細かくすり合わせていきます。
素材調合と評価テスト
ヒアリングに基づき、お預かりした地域材、木材端材、植物(コーヒー残渣やティーツリーなど)を自社プラントの工業用微粉砕装置で適切に処理します。(※素材によっては、弊社にて粉砕ができない場合があります。)
その後、再生PLAなどの樹脂と最適な比率で混錬し、オーダーメイドのペレットやフィラメント(1.75mm径など)を製造します。
材料製造から、自社の大型3Dプリンターを用いた実際の造形評価テストが完了するまでは、約2週間〜のお時間をいただいております。自社内に造形環境があるため、「ノズル詰まりが起きないか」「積層時の強度は保たれているか」をリアルタイムに評価し、材料の配合バランスを極限までチューニングしていきます。
造形物の納品と確認
造形テストを経て、高いクオリティで出力されたプロトタイプ(試作品)をお客様のもとへ納品いたします。お手元に届いた試作品を用いて、形状の確認だけでなく、サステナブル素材ならではの「本物の木の質感、ぬくもり、豊かな香り」を実際に体感してください。
ワンストップ対応プランの場合は、試作品と合わせて、開発したオーダーメイドのフィラメント材料そのものもあわせてご確認いただくことが可能です。仕上がりに問題がなければ、その素材を用いた小ロットでの製品展開や、自治体における地域資源のアップサイクル製品(記念品や家具)の製造といった次のステップへとスムーズに移行することができます。
まとめ
製品開発における「試作(プロトタイプ)」の工程は、設計ミスや量産時のリスクを最小限に抑えるために欠かせないプロセスです。しかし、これからのものづくりにおいては、単に形を作るだけでなく、試作段階から環境負荷の低減を意識した素材選び(エコマテリアル化)を行うことが、企業の社会的責任(SDGs)やブランド価値向上において必須の潮流となっています。
3Dプリンターを用いた試作は、従来の金型製作や切削加工と比較して、コスト削減や大幅なリードタイム短縮を実現できるだけではありません。植物由来の樹脂や未利用の天然資源を複合したサステナブル素材を活用することで、環境配慮と高精度な機能検証をハイレベルで両立させることが可能です。
株式会社井上企画の素材開発事業部「marui lab(マルイラボ)」では、大川の伝統木工で培った知見とプラスチック複合材研究の技術を活かし、他社には真似できない革新的な3Dプリンター試作サービスを提供しています。
- 圧倒的な素材の対応力:広葉樹だけでなく針葉樹、さらにはコーヒー残渣、ティーツリー、通常は廃棄される樹皮や葉っぱにいたるまで、自社で粉砕・材料製造(フィラメント・ペレット化)が可能です。(※素材によっては、弊社にて粉砕ができない場合があります。)
- 自社ワンストップ完結:粉砕から新材料の調合、長年のノウハウを用いた国内最大級の大型3Dプリンターでのテスト造形までをすべて一気通貫で行うため、手配の手間を省き、エラーの極めて少ないスムーズな試作プロセスを実現します。
- 柔軟な受託体制:「材料製造のみ」「粉砕のみ」のオーダーから、「データ作成(2D図面からの3Dモデル化)から最終出力まで一括」の依頼まで、お客様のフェーズやご要望に合わせた柔軟な形でのご提案が可能です。
自社で発生する端材や廃棄物を価値ある新製品へアップサイクルしたい製造業・メーカーの開発担当者様、あるいは地域の間伐材の有効活用・6次産業化によって地方創生を推進したい自治体関係者様は、ぜひ一度marui labへご相談ください。ストーリー性と確かな技術力を備えた、未来のものづくりを共に形にしていきましょう。

