ブログ
  1. ホーム
  2. 事業一覧
  3. ブログ
  4. ペレット式3Dプリンター(FGF)とは?フィラメント式(FDM)との違いと、材料・形状の選び方を徹底解説

ペレット式3Dプリンター(FGF)とは?フィラメント式(FDM)との違いと、材料・形状の選び方を徹底解説

この記事でわかること
  • ペレット式(FGF)とフィラメント式(FDM)の根本的な仕組みの違い
  • ノズル径の差がもたらす「木粉混錬率(含有量)」の限界値と意匠性の違い
  • 製造プロセス(工数)の差から生まれる圧倒的な材料コストの優位性
  • 各方式が向いている造形物のサイズ・デザイン・形状の選び方
  • 大型3Dプリンター「茶室」が実現する、伝統木工と先端技術の融合事例
読者
読者

社内の製品開発や新しいインテリアのデザインで3Dプリンターを活用したいと考えています。最近よく聞く「ペレット式(FGF方式)」と、従来からある「フィラメント式(FDM方式)」は何が違うのでしょうか?自社の試作や製品化にはどちらが向いているのか知りたいです。

担当者
担当者

ご質問ありがとうございます!結論から言うと、この2つは「材料の形状」と「狙える造形サイズ・スピード」が根本から異なります。特に、大型家具や建築資材、環境配慮素材(アップサイクル素材)を用いた試作・製品化を行うなら、ペレット式(FGF)が圧倒的に有利です。それぞれの特徴をプロの視点からわかりやすく解説しますね。

ものづくりや製品開発の現場において、急速に普及が進むデジタルファブリケーション。その中心にある3Dプリンターですが、近年は従来の「フィラメント式」に加えて、粒子状の材料を使用する「ペレット式」が大きな注目を集めています。

特にBtoBの製品開発や空間デザイン、サステナブルな新素材開発の文脈において、ペレット式3Dプリンターの導入や受託出力サービスの活用を検討する企業が増えています。本記事では、ペレット式(FGF方式)とフィラメント式(FDM方式)の仕組みの違いから、材料コストの差、それぞれが向いているデザインや形状の選び方まで、実務に役立つ知識を徹底解説します。

1. ペレット式3Dプリンター(FGF方式)とは?仕組みと注目される理由

ペレット式3Dプリンター(正式名称:FGF=Fused Granular Fabrication / 粒子熱溶解積層法)とは、その名の通り、工場などで一般的に広く使われている熱可塑性樹脂の小さな粒(ペレット)を材料として使用する造形方式です。

粒状のプラスチック(ペレット)を直接溶かして積層する仕組み

従来の一般的な3Dプリンター(FDM方式)では、一度細い紐状に加工された専用の「フィラメント」をリールから巻き出してノズルで溶かしていました。これに対し、ペレット式(FGF方式)は、プリンター頭部に配置された「ペレットエクストルーダー(融解吐出装置)」の中に、材料となるペレットをそのまま投入します。

内部のスクリューでペレットを熱しながら練りつぶし、ドロドロに溶けた高密度の樹脂をダイレクトにノズルから押し出して積層していくのが最大の特徴です。この「材料を途中で紐状にする加工工程」を完全にスキップできる単純かつ合理的な構造こそが、ペレット式が持つ多くのメリットの源泉となっています。

なぜ今、製造業やデザイン業界で導入が進んでいるのか

ペレット式3Dプリンターが産業界で急速に評価を高めている理由は、主に「造形スピードの大幅な向上」「大型造形への適応力」、精度を高める開発環境の存在にあります。

太いノズルから一度に大量の樹脂を吐出できるため、従来の小型プリンターでは何日もかかっていたメートル級の大型オブジェクトを、わずか数時間から十数時間という圧倒的な短時間でカタチにすることが可能になりました。

実際の活用例として、国内最大級の大型3Dプリンター「茶室(Chashitsu)」を運用する現場では、大川の伝統木工技術と3Dプリント技術を掛け合わせた椅子「corono chair」や、3Dプリント専門ブランド『+0.2(プラスレイテンニ)』とコラボレーションしたスツール「TSUYU」、さらにはオフィスに設置する什器や店舗の家具、大型のオブジェクトにいたるまで、これまでの切削加工や通常のFDM機では不可能だったダイナミックかつ有機的な造形を実現しています。

廃プラスチックのリサイクル材や、木粉・植物繊維を混ぜ込んだ独自の「バイオマス複合ペレット」なども、ノズルが詰まるリスクを極限まで抑えて安定出力できるため、環境価値(サーキュラーエコノミー)の高い未来のものづくりを具現化する技術として、今まさに熱い視線を浴びているのです。

2. 【比較表】ペレット式(FGF方式)vs フィラメント式(FDM方式)

ペレット式(FGF方式)とフィラメント式(FDM方式)のどちらを選ぶべきかは、製作したいオブジェクトの「サイズ」「コスト」「デザイン(求める精度)」、および環境対応素材を使用する場合はその「木粉含有率」によって大きく分かれます。

自社で3Dプリンターを活用した試作や製品開発を進めるにあたり、まず両方式のスペックや特徴の違いを一覧で比較してみましょう。

比較項目 ペレット式(FGF方式) フィラメント式(FDM方式)
主な造形サイズ 大型・メートル級(家具、建築資材など) 小型〜中型(ノベルティ、意匠パネルなど)
ノズル径(標準値) 3mm 〜 8mm(超大型吐出) 0.4mm 〜 0.8mm(微細・精密積層)
木粉の最大混錬率 30% 〜 40%程度(本物の木の質感・香りを実現) 最大20%程度(これ以上はノズル詰まりのリスク大)
使用する材料の形状 粒状(汎用ペレット) 紐状(加工済みフィラメント)
材料コスト 極めて安価(製造工数が少ないため) 割高(紐状への加工コストが上乗せ)
造形スピード 圧倒的に速い(太ノズルで大量吐出) 遅い(細ノズルで緻密に積層)
積層痕(見た目) 太く目立ちやすい(ダイナミックな質感) 細かく目立ちにくい(滑らかな表面)

このように、従来のフィラメント式(FDM方式)が「机の上の小さなパーツを精密に形にする」のを得意とするのに対し、ペレット式(FGF方式)は「実物大のダイナミックなプロダクトを、圧倒的なスピードと低コスト、さらには高い木質感を伴って生み出す」という全く異なる得意分野を持っています。

3. 【材料・コストの違い】製造プロセス(工数)の差が生む圧倒的なコスト優位性

3Dプリンターを自社に導入、あるいは外部に受託造形を依頼する際、最も重要な判断基準の一つとなるのが「ランニングコスト(材料費)」です。ペレット式(FGF方式)がフィラメント式(FDM方式)に対して圧倒的なコスト優位性を持っている理由は、材料の「製造プロセス(工数)」という構造的な違いにあります。

工数の多さが価格に直結するフィラメント(FDM方式)

従来の小型3Dプリンターで使われるフィラメントは、プラスチックの原料を細い紐状に加工し、リールに巻き取った状態で販売されています。この「紐状にする」という高精度な成形プロセスが必要なため、どうしても加工コストが上乗せされ、材料単価が割高になってしまいます。

さらに、木粉やリサイクル材などを混ぜ込んだ「環境配慮型フィラメント」を独自に作ろうとすると、「粉砕 ➔ ペレット化 ➔ フィラメント化」という3つの工程を踏まなければならず、工数が増える分だけ材料コストはさらに跳ね上がってしまいます。これが、従来のFDM方式で特殊なサステナブル素材を扱いにくかった大きな要因です。

製造工程をミニマムに抑えて低コスト化する汎用ペレット(FGF方式)

一方で、ペレット式(FGF方式)が使用する材料は、射出成形など一般のプラスチック工業製品の製造で広く使われている粒状の「汎用ペレット」です。すでに世界中で大量生産されている材料をそのまま流用できるため、材料そのものの流通価格がフィラメントに比べて非常に安価というメリットがあります。

また、自社独自のサステナブル素材(木質ペレットなど)を開発する場合でも、製造プロセスは「粉砕 ➔ ペレット化」の2工程だけで完結します。フィラメント化の工程を丸ごとスキップできるため、材料開発にかかる初期コストや製造コストを大幅に圧縮することが可能です。

材料開発から大型造形までを「一気通貫」でサポートできる強み

「低コストで独自素材を作れる」というFGF方式のメリットを最大限に活かすには、材料の調達から微粉砕、ペレット化、投下、そして実際の大型プリンターでの出力テストまでを、スムーズに連携させる必要があります。

株式会社井上企画では、自社内に工業用の微粉砕装置やペレット製造装置を備えた材料一貫製造プラント(marui lab)を保有。これにより、「材料の開発・ブレンド ➔ 試作 ➔ 大型3Dプリンター(茶室)による本造形」までを一気通貫でサポートできる体制を確立しています。材料とハードウェア双方の挙動を熟知しているため、ノズル詰まりなどのエラーを極限まで抑え、圧倒的なコストパフォーマンスと安定性で、貴社のサステナブルな新製品開発を強力に後押しします。

4. 【形状・デザイン】各機種が向いている造形物と、積層痕を美しさに変える工夫

3Dプリンターを製品開発やインテリアデザインに導入する際、最も重視すべきなのが「どのような形状やデザインの造形物を作りたいか」という点です。ペレット式(FGF方式)とフィラメント式(FDM方式)では、得意とするデザインや形状、表現できる素材の限界(木質感)に大きな違いがあります。

小型フィラメント式(FDM方式)が向いている形状と木粉含有の限界

従来の小型フィラメント式は、0.4mm〜0.8mm前後の非常に細いノズルから精密に樹脂を吐出ため、ディテール(細部)の再現性に優れています。電子機器の内部パーツや、細かな凹凸のあるパーツといった「緻密さ」「寸法精度」が求められる中小型の造形物に向いています。

しかし、素材に環境価値を持たせようと木粉を混ぜる場合、ノズル径の細さが大きな障壁となります。ノズル内部で木粉の偏りや炭化(焦げ付き)が起きやすいため、FDM方式では0.4mmの細いノズルを使用するとなると最大でも20%程度しか木粉を混錬できないという技術的限界があります。これ以上含有率を上げると流路閉塞(ノズル詰まり)を引き起こすため、本物の木のような質感や香りを十分に引き出すことは困難でした。

大型ペレット式(FGF方式)が拓く「高い木粉含有率」とダイナミックな意匠性

対する大型ペレット式(FGF方式)は、3mm〜8mmという非常に太いノズルから、ドロドロに溶けた大容量の樹脂をダイレクトに押し出して積層します。このノズルの太さがあるからこそ、FDM方式のような詰まりのリスクを極限まで抑え、30%〜40%程度(樹種による)という高い比率で木粉を混錬することが可能になりました。

これにより、プラスチックでありながらも、本物の木製家具のように紫外線や経年による緩やかな色調の変化(味わい)を楽しめる、圧倒的な「木質感」を備えたプロダクトが生まれます。家具(椅子・テーブル)や建築資材、大型のディスプレイオブジェなど、ダイナミックで有機的な美しいラインを持つ大型造形に圧倒的な威力を発揮します。

太い「積層痕」をデメリットから独自の美しさへ変える工夫

FGF方式の特性として、ノズルが太い分、表面に現れる「積層痕(層の縞模様)」が非常に目立ちやすいという点があります。これを単なる「表面が荒い」というデメリットとして捉えるか、新しい「デザインの個性」として活かすかで、プロダクトの価値は180度変わります。

一般的なペレット式造形では、積層痕をそのまま露出させた荒々しい質感になりがちですが、最先端のデザイン現場では、あえて造形時にノズルの軌道をコントロールし、美しい波模様を描くように出力するアプローチが注目を集めています。積層痕そのものを幾何学的なテクスチャとしてカモフラージュし、むしろ真似のできない唯一無二の審美性へと昇華させる工夫です。

このアプローチを象徴するのが、株式会社井上企画が自社ECサイトにて販売しているオリジナルプロダクト「PrintWeave Stool(プリントウィーブスツール)」です。家具製造時に発生する広葉樹の端材とリサイクルプラスチックを複合した「marui pellet」を使用し、これまでの木工切削では表現不可能だった流麗な3D造形美を実現しています。環境負荷を最小限に抑えながら、空間に圧倒的なサステナビリティの文脈と美しさを付与するプロダクトとして、目の肥えたデザイナーや設計事務所からも高く評価されています。

5. ペレット式3Dプリンターを利用する際の注意点と活用ステップ

ここまでペレット式(FGF方式)の圧倒的なコストメリットや大型造形への適応力について解説してきましたが、自社に導入して実用化する、あるいはプロジェクトを成功させるためには、いくつか知っておくべき注意点が存在します。これらを理解した上で、段階的なステップを踏むことが失敗を防ぐ鍵となります。

ペレット式3Dプリンターを利用・導入する際の注意点

FGF方式は非常にダイナミックな造形が可能である反面、以下のような特有のハードルがあります。

  • 材料に合わせた綿密な条件設定が必要:ペレットの種類や混合率(木粉の含有量など)によって、樹脂の溶ける温度や収縮率が大きく異なります。適切な設定を行わないと、ノズル内部での炭化(焦げ付き)や、流路の閉塞(ノズル詰まり)による造形エラーが発生します。
  • 初期投資と運用リスク:メートル級の大型ペレット式3Dプリンターは、機器そのものの導入コストが高額なだけでなく、設置スペースの確保や、安定した室温管理などの運用環境を整える必要があります。

リスクを最小限に抑える「賢い活用ステップ」

「自社の製品開発にサステナブル素材を取り入れたい」「大型の3Dプリントインテリアを試作したい」と考えても、いきなり高額な大型機を導入するのはリスクが伴います。そこで、製造業の製品開発やデザインの現場でおすすめしたいのが、以下の「黄金ルート」です。

失敗しないための3Dプリント活用3ステップ
  • Step 1:小型FDM機でミニチュア試作
    まずは社内にある小型のフィラメント式(FDM)3Dプリンターや、手軽な卓上機を使い、全体のフォルムや嵌合を確認するためのミニチュアモックアップを作成します。
  • Step 2:専門の受託試作サービスを利用して新材料を検証
    次に、自社で使いたい端材や特定の植物繊維、リサイクル材を用いた「オリジナル材料」が本当に造形可能かを、実績のある外部の試作サービスに依頼してテストします。
  • Step 3:大型FGF受託出力サービスで実物大を造形
    新材料でのデータ検証が完了したら、日本最大級の大型3Dプリンターを保有する外部企業へ依頼し、一気に実物大(1分の1スケール)での本造形を行います。

調達から出力まで、新時代のものづくりを並走支援

株式会社井上企画では、この「失敗しないステップ」を材料開発から試作、大型造形まで一気通貫でサポートできるBtoB向けソリューションを提供しています。

自社の材料一貫製造プラント「marui lab」を核とし、クライアント企業様から廃棄予定の端材や地域の間伐材をお預かりして微粉砕・ペレット化(またはフィラメント化)するだけでなく、自社保有の高精度フィラメントFDM機「senju」「Bambu Lab P1S」や、国内最大級のFGF機「茶室(Chashitsu)」を用いた受託テスト出力までを網羅しています。

「この素材を3Dプリントにアップサイクルして新製品を作りたい」「大型試作にかかるコストを抑えたい」という企業の課題に対し、材木屋としての広範な細胞構造の知見と、長年のプラスチック複合材研究のノウハウを駆使し、エラーのない安定した造形環境を小ロットの試作レベルからご提供します。林業の6次産業化や地方創生、企業のSDGs達成に向けた強力なパートナーとして並走いたします。

まとめ:伝統木工と先端テクノロジーで築く持続可能な未来

大正元年の創業以来、福岡県大川市で木材と真摯に向き合ってきた株式会社井上企画。私たちが目指しているのは、単に高品質な木製品をお届けすることだけではありません。豊かな森林資源を守り、次の世代へと受け継ぐための「持続可能なものづくりの仕組み(サーキュラーエコノミー)」を、デジタルファブリケーションの力で具現化することです。

「歩留まり100%」を証明する、marui lab発のイノベーション

私たちは、材料調達から先端素材開発までを自社内で一貫して行う「垂直統合型バリューチェーン」を最大の強みとしています。これにより、これまでは廃棄せざるを得なかった家具製造時の木材の端材や加工屑を、革新的な次世代エコマテリアル(marui pellet / marui filament)へと100%アップサイクルする環境を確立しました。

この「歩留まり100%」を目指す象徴的な取り組みとして、同じく家具の街・大川を拠点とするモリタインテリア工業株式会社様との共同開発プロジェクト『corono chair(コロノチェア)』があります。伝統的な木工職人の技術と、marui labの素材開発力、そして大型3Dプリンター「茶室」による先端造形を掛け合わせたこの椅子は、地域資源の完全循環という未来のものづくりを証明する確固たるマイルストーンとなりました。

プロジェクト・製品 marui labが提供する本質的な価値 対象となるお客様
corono chair プロジェクト
(モリタインテリア工業様と共同開発)
家具製造時の端材を100%アップサイクル。伝統木工技術と大型3Dプリントを融合させた新しい家具開発の形。 先進的なプロダクト開発・共同研究を模索する製造業や家具メーカー様
PrintWeave Stool
(自社オリジナル家具)
木粉高配合ペレット「marui pellet」を使用。太い積層痕を美しい波模様へと昇華させ、自社ECサイトで販売中のオリジナル3Dプリント家具。 サステナビリティと高いデザイン性を両立させたい建築家・デザイナー・一般ユーザー様
BtoB 素材・造形受託サービス クライアント企業の廃棄端材を用いたオリジナルペレットの開発(30〜40%の高配合率を実現)から、試作・大型本造形までサポート。 環境対応素材への切り替えや、大型試作コストの圧縮を目指す開発担当者様
担当者
担当者

他社との共同開発『corono chair』や自社プロダクト『PrintWeave Stool』が示すように、地域が誇るものづくりの伝統技術と、marui labが持つ先進のデジタルテクノロジーは美しく共生できます。私たちはこれからも環境負荷を最小限に抑えながら、新しい産業の形を提案し続けます。

特注家具のご相談や、環境素材の試作依頼はこちら

地域の間伐材・家具製造時の端材を活用したオーダーメイドペレットの試作開発から、日本最大級の3Dプリンターを活用したBtoB受託ソリューションまで、木材のアップサイクルに関するあらゆる課題にワンストップでお応えします。まずはお気軽にお問い合わせください。

最近の投稿

アーカイブ

カテゴリ

タグ一覧