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廃材を価値ある家具へ。リサイクル木材にストーリーを宿す3Dプリント技術

近年、多くの業界で「SDGs」や「サステナブルなモノづくり」が強く求められるようになりました。建設業や製造業、店舗デザインに関わる設計事務所にとっても、環境配慮型のマテリアル選定は避けて通れない重要な課題となっています。

なかでも「木材リサイクル」は、カーボンニュートラル実現への貢献度が高いテーマとして注目を集めています。しかし、従来の木材リサイクルには、廃棄コストの削減や活用方法のバリエーションという面で、現場の担当者を悩ませる構造的な課題が隠されていました。

この記事では、木材リサイクルの現状と課題を整理した上で、単なる再利用に留まらない「デジタルファブリケーション(3Dプリンティング)技術」を掛け合わせた、次世代の木材アップサイクルの可能性を詳しく解説します。

読者
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社内や現場から出る木材の端材・廃材をただ処分するのではなく、ストーリー性のある新しい製品に生まれ変わらせたいんだけど、何か良い方法はないかな?

この記事でわかること
  • 従来の木材リサイクルが抱える構造的な課題とコストの実態
  • 単なる再利用(リサイクル)と高付加価値化(アップサイクル)の決定的な違い
  • 3Dプリンター技術を活用した最新の未利用木質資源循環システム
  • 自社の端材や地域素材を価値あるプロダクトへ昇華させる具体的な試作ステップ

1. 木材リサイクルの現状と課題

木材は地球に優しい循環型資源であると言われる一方で、実際の製造現場や解体現場においては、日々大量の「未利用木材」が発生し続けています。まずは、現在の日本における木材リサイクルの仕組みと、そこで多くの企業が直面している現実について見ていきましょう。

1-1. 主流となる2つの再利用方法

現在、回収された廃棄木材(木くず)の処理ルートは、大きく分けて以下の2つが主流を占めています。

  1. マテリアルリサイクル(材料としての再利用)
    回収した木材を細かく粉砕して「木材チップ」にし、それを熱圧成形して建築用のパーティクルボードやファイバーボードに加工したり、製紙用のパルプ原料として活用する方法です。
  2. サーマルリサイクル(熱エネルギーとしての再利用)
    乾燥・成形して「木質ペレット」や燃料用チップにし、バイオマス発電所や工場のボイラー燃料として燃焼させ、電気や熱エネルギーとして回収する方法です。現在の日本の木材リサイクルにおいて、このサーマルリサイクルの割合は非常に高いシェアを占めています。

これらの手法は大量の木くずを効率的に処理する仕組みとして機能していますが、基本的には「建材のベース材」や「燃料」としての消費が目的であるため、素材そのものの美しさや意匠性、企業独自のストーリー性を活かしたモノづくりに発展させることは困難でした。

1-2. 廃棄コスト増大という企業の苦悩

木工加工や製品製造を行う現場では、端材や加工屑の処理は経営を圧迫する大きな課題です。家具の名産地である大川の一般的な木工の現場などでも、強度や安全面の観点から製品に使えない不適部分を含め、毎月10〜15トン以上もの木材端材が発生するケースは少なくありません。

これらの端材は、そのまま保管しておけば膨大なスペースを占領し、処分するにも決して安くない産業廃棄物処理コストが毎月重くのしかかります。安全面や品質管理の観点から「使えないものは捨てるしかない」という伝統的な木工の現場において、この廃棄コストは長年の負債となってきました。

「それなら、端材を加工して小さな生活雑貨や小物を製造すればいいのでは?」というアイデアもよく挙げられます。しかし、実際に小物の製造に挑戦してみても、消費できる木材の量が圧倒的に少なく、毎月発生する大量の端材の山を根本的に減らす決定打にはならないという厳しい現実があります。

環境への配慮が叫ばれる現代において、ただコストを払って廃棄したり燃やしたりするだけでなく、「より大量に、より価値のある形で木材を循環させる仕組み」が、今まさに求められているのです。

2. 木材アップサイクルの可能性

大量の端材処分に頭を悩ませる企業がある一方で、建築や空間デザイン、プロダクト開発の現場では、今ある大きな変化が起きています。それが、単なる「リサイクル」の一歩先を行く「アップサイクル」への注目です。

2-1. リサイクルとの決定的な違い

混同されがちな「リサイクル」と「アップサイクル」ですが、その本質的なアプローチは大きく異なります。

  • リサイクル(再生利用)
    元の製品を一度資源や原料のレベルまで戻し、再利用することを指します。木材であれば、細かくシュレッダーにかけて破砕し、チップや燃料にすることにあたります。基本的には元の素材よりも価値や品質が下がる「ダウンサイクル」になりやすい側面があります。
  • アップサイクル(創造的再利用)
    本来であれば捨てられるはずの廃棄物に、デザインやアイデア、テクノロジーという新たな付加価値を乗せることで、元の製品よりも次元の高い価値を持つ製品へと生まれ変わらせる手法です。

単に「ゴミを減らす」という消極的な理由からではなく、「その素材だからこそ出せる魅力や価値を創出する」というポジティブなモノづくりができる点が、アップサイクルの最大のメリットです。

2-2. BtoBモノづくりで高まる需要

近年、設計事務所の建築家や、オフィス・店舗の空間デザイナー、メーカーの製品開発担当者から、木材のアップサイクルに対する依頼や相談が急増しています。実際に寄せられる声には、以下のような極やすが具体的なニーズがあります。

  • 「解体現場から出る建築廃材をそのまま捨てるのではなく、何らかの形で材料化し、新しく建てる事務所用の家具として蘇らせたい」
  • 「短期のイベントや展示会で使用した木材を回収し、再びマテリアルとして調達・加工して、次のオフィス移転時の造作家具の材料に落とし込みたい」

このように、現代のBtoB市場において求められているのは、単なる「環境に優しい素材(サステナブル)」というスペックだけではありません。「なぜその家具がここにあるのか」を雄弁に語る「ストーリー性」がセットになったサステナブルなのです。

担当者
担当者

企業のアイデンティティや、その空間が持つ歴史を「廃材のアップサイクル家具」という形で表現することは、企業のESGへの取り組みを社内外へ視覚的に伝える最高のコミュニケーションツールになります。

しかし、ここで一つの大きな壁が立ちはだかります。建築廃材やイベントの解体廃材は、形状も、樹種も、含水率もバラバラです。従来の木工加工の技術だけでは、これらを効率よく、かつ一定のクオリティを保った建材・家具用資材へと一律に仕立て直すことは極めて困難でした。

この「バラバラの未利用資源をどう高付加価値化するか」という課題に対し、全く新しい解決策を提示するのが、次世代のデジタルファブリケーション技術です。

3. 3Dプリントが拓く木材の未来

これまで「細かく砕いて別の建材に混ぜる」か「燃料として燃やす」しかなかったバラバラの未利用木材。この常識を根底から覆し、高い歩留まり率の循環型モノづくりを可能にするのが、素材開発事業部「marui lab」が推進する最新のデジタルファブリケーション技術です。

3-1. 端材を100%活かす新素材開発

marui labでは、自社工場や地域から排出される木材の端材・粉砕屑を回収し、最先端の3Dプリンティング技術と融合させることで、プラスチックでありながら極めて木材に近い特性を持つ次世代エコマテリアルを自社開発しています。

開発された3Dプリント用素材には、用途に合わせて2つのラインナップがあります。

  • marui pellet(マルイペレット)
    木粉含有率30%に各種混錬樹脂を配合した大型造形用の材料です。ホワイトオーク、チェリー、ウォールナットといった人気の広葉樹から、地域の間伐材・針葉樹まで幅広く対応しています。化学的な人工着色剤を一切排除し、配合される木粉そのものの色調や質感、香りを最大限に活かしているため、3Dプリント製品でありながら本物の木製家具と同様に、紫外線や経年による緩やかな色調の変化(味わい)を楽しむことができます。
  • marui filament(マルイフィラメント)
    全体のリサイクル率95%を達成した、汎用性の高い1.75mm径のフィラメント材料です。広葉樹の端材由来の木粉に、再生PLA(ポリ乳酸)樹脂を高度に複合させています。こちらも着色剤は不使用で、素材本来のナチュラルな風合いが特徴です。

従来の木質3Dプリンター用素材は、ノズル内部で木粉の偏りや炭化(焦げ付き)による流路閉塞が発生しやすく、安定した出力には高いハードルがありました。しかし、材木屋として培った木材の細胞構造に関する深い知識と、長年にわたるプラスチック複合材の研究により、ノズル詰まりを防ぐ極めて安定した材料の配合技術を実用化しています。

3-2. 大型3Dプリンターによる受託造形

材料の開発だけでなく、それらを実際に形にする国内最大級の大型3Dプリンター造形環境を自社内に垂直統合している点も、marui labの大きな強みです。

自社に工業用微粉砕装置やペレット・フィラメントの製造プラントを保有しているため、「材料のブレ」と「機械側のノズル詰まり等のエラー」の要因を明確に切り分けることができ、ハードとソフト(材料)の両面から常にクオリティの最適化を行っています。

保有する主要な3Dプリンターのスペックは以下の通りです。

設備名 対応材料(方式) 最大造形サイズ(W×D×Z) 特徴・用途
茶室 marui pellet(ペレットFDM式) 2,000 × 1,400 × 1,500 mm ノズル径3〜8mmに対応。家具やオブジェなどの超大型造形を可能にする国内最大級の3Dプリンター。
senju

Bambu Lab P1S

marui filament(フィラメントFDM式) 380 × 350 × 400 mm

256 × 256 × 256 mm

緻密なプロトタイプや、意匠性の高いインテリア小物・パーツの試作出力に最適。

このように、粉砕から材料混錬、および超大型3Dプリンターによる受託造形(試作・本造形)までをワンストップでカバーできる体制があるからこそ、バラバラの廃材を高付加価値な造形物へと、高い歩留まり率でシームレスにアップサイクルすることが可能になるのです。

4. marui labの試作支援サービス

「自社から出る特定の木材端材をアップサイクルしたい」「地域の間伐材を使って、ストーリー性のある記念品やオフィス家具を作りたい」と考えても、それを実現するための材料開発や3Dプリント出力のインフラを自社でイチから構築するのは、コスト面でも技術面でも極めて高いハードルが存在します。

marui labでは、自社で独自に構築した「粉砕から材料混錬、3Dプリンティングによる検証」までの全インフラを、BtoB向けの受託ソリューション「3Dプリント試作サービス」として広く外部の企業や自治体様に開放しています。

4-1. 地域素材や自社端材のペレット・フィラメント化

本サービスでは、お客様の工場で廃棄予定だった木材の端材や、地域で処理に悩んでいる間伐材、あるいは特定の植物繊維などをそのままお預かりします。それらをmarui labが保有する工業用微粉砕装置で均一な微粉末へと加工し、再生PLA(ポリ乳酸)などの樹脂と高精度に複合して、お客様専用の「オーダーメイド材料(ペレットまたはフィラメント)」として調達可能にします。

さらに、材料を製造して終わりではなく、自社が保有する「senju」や「茶室」といった3Dプリンターを用いて、実際に狙い通りの造形が可能かどうかの評価テスト(受託テスト出力)までを一気通貫でカバーします。お客様のご希望や開発フェーズに合わせ、「材料(ペレット・フィラメント)の製造・納品のみ」の対応も、「3Dプリンターでの最終製品の出力まで」一括での対応も、柔軟に承ることが可能です。

4-2. 環境価値を高めるストーリー性

この試作支援サービスは、単なるサステナブル素材の調達手段ではありません。間伐材や未利用材の処分に悩む地域の林業関係者様にとっては、地域の木材を組み込んだ独自の記念品や什器の製作を通じ、林業の6次産業化や地方創生を推進する強力なソリューションとなります。

また、自社の解体廃材をオフィスの家具に生まれ変わらせたい企業様にとっては、参入障壁の極めて高い環境対応技術(SDGs関連技術)を小ロットの「試作レベル」からリスクを抑えて検証できる、またとない機会を提供します。確かなファクトとストーリーを纏ったモノづくりが、marui labのワンストップ体制によって実現します。

5. まとめと次の一手

従来の木材リサイクルは、破砕チップによる建材化やバイオマス燃料としてのサーマルリサイクルが主流であり、大量処分には適しているものの、素材の意匠性や企業独自のストーリー性を付与することは困難でした。また、木工現場での端材を小物製造などで消費しようとしても、排出量に対して消費量が少なすぎるという構造的な課題もありました。

こうした課題を突破し、未利用木質資源を「高い歩留まり率」で高付加価値なプロダクトへ昇華させるのが、marui labのデジタルファブリケーション技術です。

今回のポイントを振り返ります。

  • 従来の木材リサイクル(チップ化・燃料化)は付加価値やストーリー性を生み出しにくかった
  • アップサイクルは、デザインとテクノロジーで素材の価値を次元高く引き上げる手法である
  • marui labは、人工着色剤不使用で木本来の経年変化を楽しめる次世代エコマテリアルを自社開発
  • 国内最大級の3Dプリンター「茶室」等により、廃材の粉砕から超大型受託造形までワンストップで対応
  • お客様のニーズに合わせ、材料のみの提供から3Dプリンター出力まで柔軟な受託試作・製造が可能

自社独自の端材を活かした環境対応製品の開発や、ストーリー性を備えたサステナブルな空間・建材デザインの実現に向けて、まずは小ロットの試作から未来のモノづくりを始めてみませんか?素材選定や技術的な実現可否など、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。

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