持ち込み木材を3Dプリンター材料へ!端材を資産に変えるアップサイクル受託サービス
設計事務所のデザイナーや家具メーカーの製品開発担当者、あるいは地域の森林資源の利活用を模索する自治体担当者の方々にとって、「手元にある特定の木材や端材を、どうにか有効活用できないか」という悩みは尽きないものです。ストーリー性のある空間づくりのために施主ゆかりの木材を使いたい、あるいは工場の製造プロセスで発生する端材や解体された展示物の木材をアップサイクルしたいと考えても、従来の一般的な木工加工(カットや研磨)だけでは、形状やサイズの制約から思い通りのプロダクトに再生できないケースが多々ありました。
しかし現在、デジタルファブリケーションの進化によって、木材の「持ち込み加工」は全く新しい次元へと突入しています。お預かりした木材や未利用資源を一度微粉砕し、最先端の3Dプリンター用材料へと生まれ変わらせることで、従来の木工技術では不可能だった複雑なデザインの家具や、小ロットのノベルティ開発が完全なオーダーメイド(受注生産)で実現可能になりました。
本記事では、持ち込まれた木材や植物繊維を3Dプリンター材料へアップサイクルする先進的な試作・製造プロセスの全貌と、それをワンストップで実現する独自の受託ソリューションについて詳しく解説します。廃棄予定だった木材に新たな命を吹き込み、環境価値の高いストーリーを宿した新製品を生み出すヒントとして、ぜひお役立てください。
- 処分・廃棄されていた持ち込み木材や未利用材が、3Dプリンター材料として資産に変わる仕組み
- 木粉の粒子サイズ(ON品・PASS品)や3Dプリンター(大型・小型)の使い分けによる、意図通りの製品開発手法
- 材料開発から受託テスト出力・製品造形までをワンストップ(自社一貫体制)で依頼できるメリット
目次
1. 木材の持ち込み加工・試作における「新しい選択肢」
これまで、クライアントから木材を持ち込んでの加工や試作を依頼する場合、その大半は「指定のサイズに直線カットする」「表面をサンダーで削って滑らかにする」「NCルーターで特定の形状に切り抜く」といった、物理的に木を削り出すアナログ・デジタルの木工加工が一般的でした。しかし、このアプローチでは木材本来の形状や品質に大きく左右され、活用の幅が限定されてしまうという課題がありました。
読者
施主支給の木材や、イベントで使った展示物の解体材があるのですが、割れや不揃いな部分が多くて、普通の家具工場からは「この状態では加工できない」と断られてしまいました……。何か別の形で形に残す方法はないでしょうか?
担当者
そうした木材こそ、私たちのデジタルファブリケーション技術が最も輝く素材です!従来の「削る加工」ではなく、一度「粉末にしてから固めて立体にする」という新しい選択肢を選べば、どんな形状の木材からでも、自由自在に新しいプロダクトを生み出すことができますよ。
従来の木工加工(カット・研磨)と何が違うのか
従来の木工加工では、木材の「反り」「割れ」「節(ふし)」といった自然由来の特性を避けて刃物を入れる必要があり、持ち込まれる原木や端材の品質によっては加工そのものが断られるケースが少なくありませんでした。また、形状を削り出す性質上、どうしても一定以上の廃棄ロス(加工屑)が発生し、材料全体の歩留まりが低くなるという構造的な問題もありました。
これに対し、最先端の3Dプリンティング技術を前提とした持ち込み加工は、木材を一度工業用装置で「微粉砕」し、PPやPLAなどの樹脂と混錬して3Dプリンター用の材料(ペレットやフィラメント)へと作り直すアプローチをとります。つまり、木材の元の形状や強度のバラつきに左右されることなく、複雑な曲面を持つインテリアや、細微なデザインのプロダクトへ、余すことなく「再構築」できる点が決定的に異なります。
処分・廃棄していた端材や間伐材が「資産」に変わる理由
この新しい加工アプローチの最大のメリットは、これまで「経営上の負債」や「廃棄コストの対象」とされてきた未利用資源を、すべて価値ある「資産」に変えられる点にあります。
株式会社井上企画の素材開発事業部「marui lab」が提案する受託ソリューションでは、以下のような多様な持ち込み素材に対応しています。針葉樹・広葉樹を問わないのはもちろんのこと、木材以外の植物繊維も材料化することが可能です。
- 自治体などの管理プロセスで発生する街路樹の剪定枝や地域の間伐材
- 家具工場や木工所で発生し、これまでは処分するしかなかった広葉樹・針葉樹の端材
- 役目を終えて解体された、木製イベント展示物や事業所解体時の廃材・古材
- 竹、炭、ティーツリーといった、木材以外の多様な植物繊維・天然素材
これまでは産業廃棄物として費用をかけて処分していたこれらの素材が、自社だけの、あるいはその地域だけの「ストーリーを持った固有の3Dプリンター材料」へと生まれ変わります。ただ捨てるはずだった資源が、企業の環境貢献(SDGs)を象徴する新製品開発の原資や、地方創生を推進する記念品作りのコア素材という名の「資産」に化けるのです。
2. 端材や未利用材を最先端の3Dプリンター材料へ
持ち込まれた木材や植物繊維は、ただ粉砕して形を変えるだけではありません。株式会社井上企画の素材開発事業部「marui lab」では、材木屋として長年培ってきた木材に関する知見を活かし、最先端の次世代エコマテリアルへと生まれ変わらせる技術を確立しています。
独自の材料技術から生まれた「marui pellet」と「marui filament」
お預かりした素材は、独自の材料開発技術によって主に2つの形態へとアップサイクルされます。
- marui pellet(マルイペレット):PPに広葉樹端材由来の木粉30%を配合した粒状の材料です。主に家具やインテリアなど、強度とボリュームが必要な大型造形に向いています。
- marui filament(マルイフィラメント):再生PLAに広葉樹端材由来の木粉を配合し、全体のリサイクル率95%を達成した1.75mm径の線状材料です。小〜中ロットのノベルティや細密なデザインの造形に適しています。
これらの材料の最大の特徴は、化学的な人工着色剤を一切排除している点にあります。配合される木粉や植物そのものの自然な色調、質感、そして固有の香りがそのまま材料に宿るため、3Dプリンターで出力された後も、本物の木のような温もりを感じることができます。
本物の木製家具と同じように「経年変化」を楽しめる理由
一般的なプラスチック製の3Dプリント製品は、完成した瞬間が最も美しく、時間が経つにつれて劣化していきます。しかし、「marui pellet」や「marui filament」で作られたプロダクトは、本物の木製家具と全く同じように、紫外線や時の経過とともに緩やかに色調が変化していく(味わいが深まる)という独自の特性を持っています。
これは、人工着色剤に頼らず、木材が持つ天然の成分(リグニンなど)がそのまま材料内に生きているからこそ起こる現象です。「形を変えた人工物」でありながら、木という生命が紡いできた豊かな経年変化のストーリーをそのまま製品に引き継ぐことができます。
持ち込む木材によって、仕上がりの触り心地や色味をコントロールすることはできるのでしょうか?
A:どの木材を使っても、仕上がりは一律同じになる
B:木粉の粒の大きさ(粒子サイズ)や配合量によって、質感や色味を変えられる
C:仕上がりは完全に運任せでコントロールできない
答えは B です
私たちは、持ち込まれた木材を粉砕する際、木粉を粒子のサイズ毎に「ON品(粒子が粗い)」と「PASS品(粒子が細かい)」に緻密に分級して材料を製造しています。これにより、狙いたいデザインや製品の用途に合わせて、質感や色味を明確にコントロールすることが可能です。
粒子サイズ(ON品・PASS品)による特性と使い分け
木粉の粒子サイズをコントロールすることで、以下のように仕上がりの表情や、使用できる3Dプリンターのシステムが変わります。この自由度の高さこそが、試作や製品開発における大きな強みとなります。
| 粒子区分 | 粒子の特徴 | 仕上がりの質感・色味 | 適した3Dプリンター・用途 |
|---|---|---|---|
| ON品 | 粒子が粗い(大きめ) | より強い木質感、素材特有の色味が強く出る | 大型3Dプリンター用(家具・インテリアなど) |
| PASS品 | 粒子が細かい(微粉末) | なめらかで心地よい触り心地を重視 | 小型・大型双方に対応(ノベルティ、細密デザイン、椅子などのように肌や衣類が直接触れるような家具) |
なお、繊細な表現が得意な小型3Dプリンターは、材料を吐出するノズルサイズが0.4mmと非常に小さいため、粒子が粗いON品を使用するとノズル詰まりの原因になります。そのため、小型3Dプリンターを用いるノベルティなどの開発では、粒子が極めて細かい「PASS品のみ」を使用して材料製造を行うなど、ハードウェアの特性に合わせた厳密な材料チューニングを行っています。
3. 小ロットから対応する「フィラメント試作サービス」のプロセス
自社で出た木材端材や地域の森林資源を3Dプリンター用の材料にして新しいプロダクトを作りたいと考えても、「実際に形になるのか」「安定して出力できるのか」という不安は大きいものです。株式会社井上企画の素材開発事業部「marui lab」では、これらのハードルをすべてクリアし、アイデアを確実に形にするための「フィラメント試作サービス」をBtoB向けに提供しています。
【ステップ1】お預かりした木材の微粉砕と材料混錬
試作プロセスの第一歩は、持ち込まれた木材や植物繊維(街路樹・間伐材・展示物の廃材・竹など)を、自社工場内の「材料一貫製造プラント」へ投入することから始まります。
まず、工業用微粉砕装置を用いて木材を均一な粉末状(木粉)へと加工します。この際、前述の通り製品の目的や対応する3Dプリンターの仕様に合わせて、粒子サイズ(ON品・PASS品)を厳密に分級(コントロール)します。その後、樹脂と最適な比率で熱混錬を行い、オーダーメイドの「marui pellet」または「marui filament」を製造します。材木屋としての広範な木材の知見があるからこそ、木粉の偏りや炭化(焦げ付き)が起きにくい、極めて安定性の高い材料を自社内で内製することが可能です。
【ステップ2】大型・小型3Dプリンターによる受託テスト出力・評価
材料が完成した後は、自社に保有する国内最大級の3Dプリンティング環境を用いて、実際に造形が可能かどうかの検証(受託テスト出力)を一気通貫でカバーします。
ここでの最大の強みは、「粉砕から3Dプリンターでの出力までをワンストップ(自社一貫体制)で行える点」にあります。従来の分業体制では、3Dプリント中にノズル詰まりなどの造形エラー(失敗)が発生した際、「材料の配合が悪いのか」、それとも「3Dプリンターの出力設定(ハードウェア)が悪いのか」の原因特定が困難でした。しかし、marui labでは自社内で全てを行うため、失敗の原因を材料側と3Dプリント側の双方から科学的に切り分けて判断し、即座に品質改善へフィードバックすることができます。
担当者
私たちの試作サービスでは、製造したいもののサイズやロット、デザインの緻密さに合わせて、2つの3Dプリンターシステムを柔軟に使い分けて評価・生産を行っています。ここをワンストップで選択できるのも強みです!
目的・ロットに合わせて使い分ける2つの3Dプリンティングシステム
marui labでは、クライアントの製品開発のご依頼に対して、以下の2種類の3Dプリンターを駆使して対応しています。
- 大型3Dプリンター「茶室」:最大造形サイズが W2000×D1400×Z1500mm にも及ぶ国内最大級のFGF式3Dプリンターです。3〜8mmの太いノズルから「marui pellet」をダイレクトに吐出するため、強度の必要な大型家具、チェア、テーブルベース、建築用のインテリア造形などの試作・受託造形に圧倒的な威力を発揮します。
- 小型3Dプリンター「senju」「Bambu Lab P1S」:最大造形サイズが「senju」: W380×D350×Z400mm 、「Bambu Lab P1S」:W256×D256×Z256mmのFDM式3Dプリンターです。0.4mmの非常に細いノズルから「marui filament」を吐出して造形するため、ノベルティなどの小〜中ロット生産するものや、複雑で細かいデザインが施されたプロダクトの精密な造形に最適です。(※ノズル詰まりを防ぐため、材料には微粉末のPASS品のみを使用します)
このように、「材料を作る技術」と「機械を使いこなす技術」が同一組織内で完全に垂直統合されているからこそ、持ち込み素材という不確定要素の多いスタートからでも、ブレのない高品質な受託テスト出力と製品化を実現できるのです。
4. 林業の6次産業化や企業のSDGs・新製品開発を強力に支援
木材をはじめとする植物繊維の持ち込み加工・3Dプリンター材料へのアップサイクルは、単なる「ユニークなモノづくり」の枠を超え、自治体の地方創生(林業の6次産業化)や、企業のサステナビリティ戦略(SDGs)を強力に推進する原動力となります。ただ廃棄されていた地域や企業の未利用資源に、デザインとテクノロジーで新たな経済価値を付与する循環型ビジネス(サーキュラーエコノミー)の社会実装をサポートします。
地域の未利用材をストーリー性のある記念品や家具へ
自治体や地域コミュニティにおいて、街路樹の剪定枝や整備に伴う間伐材、あるいは歴史ある木造施設の解体廃材などは、愛着がありながらもその多くがチップ化や焼却処分(バイオマス燃料など)に回されていました。これらは熱エネルギーとしての利用価値はあるものの、地域経済への直接的な還元としては限界があります。
株式会社井上企画の「marui lab」による受託ソリューションを活用すれば、これらの地域資源を「地域固有の3Dプリンター材料」へアップサイクルし、公共施設で導入する大型の木製ベンチ(大型3Dプリンター「茶室」による造形)や、ふるさと納税の返礼品、地域のイベントで配布する記念ノベルティ(小型3Dプリンター「senju」による造形)へと再生できます。資源の発生から製品のアップサイクルまでを完全に可視化することで、他にはない圧倒的なストーリー性と環境価値を持った地域発のブランドプロダクトを誕生させることが可能です。
読者
自社で出る端材を材料化することには興味があるのですが、実は社内に3Dプリンターがあり、出力自体は自社で行いたいと考えています。逆に、材料作りは不要で、製品の造形(受託出力)だけをお願いしたいケースもあるのですが、そうした柔軟な依頼は可能でしょうか?
担当者
もちろんです!お客様の設備環境や開発フェーズ、ビジネスモデルに合わせて、私たちがどのプロセスを担うかは柔軟にご指定いただけます。材料製造のみ、あるいは製品の製造(受託造形)まで、最適な形でご依頼いただけますよ。
お客様のニーズに100%並走する、プロセス別の柔軟な受託体制
私たちは、材料開発(粉砕・混錬・ペレットとフィラメントの製造)から最終プロダクトの製造(大型・小型3Dプリンターによる出力)までの一貫体制(バリューチェーン)を自社内に垂直統合しています。だからこそ、すべてのプロセスを一括でお引き受けする「完全ワンストップ」はもちろん、以下のように一部分のプロセスのみを切り出した受託(製造パートナー)としても機能します。
- 【材料製造のみ】を依頼したい場合:「自社で発生する端材を持ち込んで、自社の3Dプリンターで出力するための『marui pellet』だけを製造してほしい」といったご要望に対応します。樹種・樹脂ごとに分けた厳密な配合管理と、粒子サイズ(ON品・PASS品)のチューニングを施した、お客様専用の高精度なオリジナル材料をご納品します。
- 【製品の製造(受託造形)まで】を一括で依頼したい場合:「手元にある木材や植物の持ち込み加工から、最終的なインテリア家具やノベルティ製品の完成まで、試作・評価を含めてすべての面倒を見てほしい」というケースです。デザインデータを共有いただくか、あるいはmarui labと共同で設計を行い、大型「茶室」や小型「senju」を駆使して、最も完成度の高い受託テスト出力から本生産までをワンストップで完結させます。
このように、設計事務所、インダストリアルデザイナー、製品開発メーカーそして自治体担当者の皆様が抱える「やりたいこと」や「既存の社内リソース」に応じて、必要なパートに最適な技術と設備をピンポイントで提供できる。この驚異的な柔軟性こそが、井上企画の素材開発事業部が選ばれる大きな理由です。
5. まとめ:持ち込み木材のアップサイクル・受託造形は株式会社井上企画へ
従来の木工加工では活用や処分に困っていた持ち込み木材(端材・間伐材・展示物の廃材など)も、最先端のデジタルファブリケーション技術と材木屋としての知見を融合させることで、高い環境価値と独自のストーリーを持った「3Dプリンター材料」へ、そして全く新しいプロダクトへと生まれ変わらせることができます。
- あらゆる未利用木質資源に対応:街路樹、間伐材、工場端材、解体廃材だけでなく、竹や炭、ティーツリーなどの植物繊維も3Dプリンター材料(ペレット・フィラメント)にアップサイクル可能。
- 質感・色味を緻密にコントロール:木粉の粒子サイズを「ON品(粗め・強い木質感)」と「PASS品(細かめ・なめらかな触り心地)」に分級し、狙い通りの表現やプリンター仕様(ノズルサイズ)に最適化。
- 自社一貫体制(ワンストップ)の強み:粉砕から材料製造、3Dプリンターでの出力検証までを一気通貫で行うため、造形エラーの原因を材料側・機械側に切り分けて迅速に品質を改善。
- 柔軟な受託プロセス:お客様の社内リソースや開発フェーズに合わせ、「材料製造のみ」の納品から、大型「茶室」・小型「senju」を駆使した「最終プロダクトの製造(受託造形)」まで柔軟に並走。
株式会社井上企画の素材開発事業部「marui lab」では、人工着色剤を一切使わず、木本来の香りや温もり、経年変化による美しさをそのまま宿したエコマテリアル開発を提供しています。企業のSDGs・新製品開発や、自治体様の地方創生・林業の6次産業化に向けて、手元にある木材資源に新たな命を吹き込みたいとお考えの担当者様は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。材料製造のみのご依頼から、テスト出力・試作、本生産まで、お客様のニーズに最適な形で全力でサポートいたします。

