森林環境譲与税で拓く、地域の未来。井上企画の3Dプリント技術が貢献できること
2024年度から、私たちの暮らしに身近なところで「森林環境税」の課税が始まりました。これは、日本の豊かな森林を守り、育てるための大切な財源です。そして、この税収は「森林環境譲与税」として、全国の市町村や都道府県に配分されています。
しかし、「この税金が具体的にどう使われるのかよくわからない」「私たちの地域でどんなことができるのだろう?」と感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、森林環境譲与税の基本的な仕組みから、全国のユニークな活用事例、そして私たち井上企画が持つ木材3Dプリント技術によって、この制度をどのように活用し、地域社会に貢献できるのかを、分かりやすく解説していきます。
そもそも「森林環境譲与税」とは?
森林環境譲与税は、国内の森林整備やその促進に関する施策の財源とするために、国から市町村および都道府県に対して譲与される税金です。深刻化する気候変動への対策や、頻発する自然災害への備えとして、森林の持つ公益的機能(水源の涵養、土砂災害の防止など)を維持・向上させることが喫緊の課題となっています。[1]
譲与額は年々増加しており、令和6年度からは森林環境税の課税開始に伴い、総額600億円が全国の自治体に配分される予定です。これにより、各地域での取り組みが一層加速することが期待されています。

では、この財源はどのように配分され、何に使われるのでしょうか。
市町村への配分は、「私有林人工林面積(55%)」「林業就業者数(20%)」「人口(25%)」という3つの基準で決定されます。これにより、森林資源が豊富な山間部だけでなく、木材の消費地である都市部の自治体にも財源が行き渡る仕組みになっています。[2]

何に使われる?全国のユニークな活用事例
森林環境譲与税の主な使い道は、「森林の整備」「人材育成・担い手の確保」「木材利用の促進・普及啓発」の3つです。林野庁の報告によると、特に「森林整備」と「木材利用・普及啓発」に多くの予算が充てられています。

全国では、この制度を活用したユニークで先進的な取り組みが次々と生まれています。いくつか事例を見てみましょう。
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分野
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自治体
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取り組み内容
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公共施設の木質化
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和歌山県有田川町
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地元産材を活用し、移住就業支援施設の家具や内装を木質化。林業の担い手確保にも貢献。
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木育・普及啓発
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長野県
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間伐材の端材を利用した積木を制作し、初誕生記念品として贈呈。木材の有効活用をPR。
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都市と地方の連携
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愛知県名古屋市 × 長野県木祖村
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都市(名古屋市)の譲与税を財源に、山村(木祖村)の森林整備を実施。間伐材製品の開発も行う。
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これらの事例から、単に木を使うだけでなく、地域の課題解決(担い手不足、関係人口創出など)や、市民への環境意識の啓発へと繋げていることがわかります。
井上企画の森林環境譲与税での納品例
・鹿児島県姶良市:姶良市産のヒノキを活用した玩具等の納品。(木育事業)
井上企画ができること:3Dプリント技術で拓く新たな可能性
私たち井上企画は、長年培ってきた木材加工の知見を活かし、家具の製造過程で発生する端材や間伐材をアップサイクルする素材開発事業に取り組んでいます。
特に、独自開発した**3Dプリント用広葉樹ペレット「marui pellet」と、大型造形が可能なペレット式3Dプリンター「茶室」**は、森林環境譲与税の活用において、これまでにない新たな可能性を拓きます。

写真:ホワイトオーク、チェリー、ウォールナットなど、樹種ごとのペレット。着色剤を使わず、木材本来の色と質感を活かせます。
井上企画の「持続可能な循環型モデル」
私たちの強みは、地域の森林で発生した間伐材や、自社工場から出る端材を「粉砕」→「ペレット化」→「3Dプリントによる製品化」まで、ワンストップで行えることです。これにより、地域の木材資源を無駄なく活用し、新たな価値を持つ製品として地域に還元する、持続可能な循環型モデルを実現します。

このモデルは、森林環境譲与税の理念である「森林整備の促進」と「木材利用」をダイレクトに結びつけるものです。
井上企画による具体的なご提案
この循環型モデルを基盤に、井上企画は自治体の皆様へ以下のような具体的な提案が可能です。
提案1:公共施設の家具・什器を「デザイン」と「物語」で彩る
3Dプリント技術の最大の特長は、デザインの自由度の高さです。従来の木工技術では難しかった曲線的で複雑なデザインも、効率的に製造できます。
【提案事例】
•待合室に設置する、地域のシンボルを象ったベンチ
•図書館や公民館に、地元の間伐材から作られたテーブルや椅子、壁面装飾パネル
•イベント用の仮設什器やサイン
「このベンチは、○○山のヒノキの間伐材から作られています」といったストーリーを付加することで、公共施設が地域の森林を身近に感じる「木育」の場にもなります。
⇩このコロノチェアは、背もたれと座面を3Dプリントで製造しており、その部分を地元の木材から作ることができます。
機能性と環境への取組を両方併せ持った製品です。


写真:3Dプリント技術で製造されたパネル。滑らかな曲線が特徴。
提案2:未来を担う子どもたちへ、木育・教育分野への貢献
全国の事例にもあるように、誕生祝い品や学校教材への木材利用は、人気の高い活用方法です。
【提案事例】
•地域の樹種(サクラ、ケヤキなど)で作った、オリジナルの3Dプリントノベルティ
•3Dプリンターでの製造工程を見せる工場見学と組み合わせた環境教育プログラム
リサイクル率95%を誇る当社のフィラメント「marui filament」は、環境負荷が少なく、教育現場で活用する製品としても最適です。
提案3:自治体とのワンストップ連携
「間伐材の活用先を探している」「森林環境譲与税の有効な使い道を模索している」といった自治体様に対し、井上企画は強力なパートナーとなります。
•連携のメリット
•手間なく資源を有効活用:自治体が管理する間伐材や街路樹の剪定枝などを引き取り、製品化まで一貫して担います。
•企画からサポート:どのような製品を作るか、という企画段階からご相談に応じ、地域のニーズに合わせた製品開発をサポートします。
•地域内経済循環:地域の資源を地域で加工し、地域で利用することで、新たな経済の循環を生み出します。
まとめ:持続可能な未来を、地域と共に創る
森林環境譲与税は、日本の森林、そして地域社会の未来にとって、大きな可能性を秘めた制度です。
井上企画は、私たちの強みである**「木材3Dプリント技術」と「循環型モデル」**を活かし、この新しい財源を最大限に有効活用するためのお手伝いをしたいと考えています。
•間伐材の新たな価値創造
•デザイン性の高い公共空間の実現
•地域住民への環境意識の啓発
これらのテーマにご関心のある自治体・企業の皆様、ぜひ一度、井上企画にご相談ください。木材の可能性を最大限に引き出し、持続可能な未来を共に創り上げていきましょう。
【参考文献】
[1] 林野庁. 「森林環境税及び森林環境譲与税」. https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/kankyouzei/kankyouzei_jouyozei.html
[2] 総務省. 「森林環境税及び森林環境譲与税について」. https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/04000067.html

